後工程とは
電気工事は、配線から始まり、器具の取り付け、通電確認、試運転、最終検査へと、複数の工程が段階的に進んでいく仕事です。
さらに現場によっては、大工・内装・設備・塗装・建具など多くの職種との同時並行作業も行われます。
こうした環境下では、「自分の作業が終わったらそれで終わり」ではなく、後に続く工程を意識した仕事の進め方が不可欠です。
電気工事の品質は、単に配線が正しいかどうかだけでは測れません。
次の職人が作業しやすいか、安全に通電できるか、施工内容が明確に残されているか。
こうした「バトンの渡し方」こそが、プロとしての真価を問われるポイントです。
具体的な配慮のポイント
《1. 作業内容の「見える化」》
・どこまで配線したか、どのルートを通したか
・配線のラベル付け・色分け・端子の処理状態
・未結線・仮設状態の明示
後工程(例:器具取り付け班、検査担当者)が迷わず判断できるよう、手書きメモ、写真、図面へのマーキングなども活用しながら、作業情報を「見える形」に残していきます。
《2. 必要情報の適切な共有》
・施工途中の変更点や経路の調整
・使用した材料・品番・仕様
・注意点(干渉のおそれ、感電注意など)
現場では日々状況が変わります。図面にはない現場判断や変更も多く発生します。
それを口頭だけで済ませず、確実に後工程の担当者へ伝えることが、チーム全体の施工品質を守る鍵です。
《3. 現場の整理・安全管理》
・通路・作業スペースに資材や工具を残さない
・仮設ケーブルや脚立の置き方に配慮する
・配線開口部の仮養生・危険表示を徹底する
自分たちのあとに他職が作業を行う場合、「使ったら元に戻す」「足元をきれいにする」など、基本的な現場マナーの積み重ねが安全と信頼を生みます。
《4. 「後工程はお客様」の意識》
同じ会社の中でも、あるいは他社との現場でも、「後の人が快適に働けるように配慮する」ことは、「職人としての思いやり」であり、顧客対応の一環とも言えます。
・次の人の作業が楽になるようにケーブルを引き回す
・器具の箱や説明書を所定の位置に残しておく
・完了報告とともに「何か困る点があったら言ってください」と一言添える
こうした行動は、小さなようでいて、現場全体のムードや効率を大きく左右します。
~5Sの徹底がプロの証~
電気工事の現場では、「5S」(整理・整頓・清掃・清潔・躾)がそのまま品質と安全の基準となります。
整理: 不要な部材・使いかけの配線をその場で片付ける
整頓: 工具や器具を所定の位置に戻し、次にすぐ使えるように
清掃: 穴あけ後の粉塵、被覆の切れ端などをその場で掃除
清潔: 作業服や手袋も常に清潔に保ち、現場の印象を良くする
躾: 決められた作業ルール・KY活動(危険予知)を全員が徹底
これらは「当たり前のこと」ですが、当たり前を丁寧に続けられる会社こそ、元請や施主から長く選ばれます。
~まとめ~
電気工事の本当の品質とは、「通電したからOK」では終わりません。
それが建物全体の中でどう機能するか、誰が使いやすいか、誰がメンテナンスしやすいか。
そして、次の工程に気持ちよく引き継げるか。
後工程への配慮は、「その場だけの仕事」ではなく、信頼される電気工事会社であるための本質です。
職人としての技術と同じくらい、「人を思いやる力」も磨きながら、安全・品質・信頼を積み上げていきます。



